睡眠の質がよくないと、集中力が低下したり日中に眠気を感じたりするだけでなく、心身にまで影響を与えてしまいます。睡眠の質をあげるためには、しっかりと水分補給をしておくことや温かい飲み物にするなど、生体リズムに合わせて就寝前の飲みものにも注意することが必要です。すっきりとした睡眠という体感がないかた、ぜひ参考に試してみてください。
睡眠の質をあげる入眠前の準備
深部体温を下げる
入眠のためには、身体の内部の温度「深部体温」を下げることが大切です。深部体温が下がると、メラトニンというホルモンの分泌が活発になり自然に眠たくなります。私たちの身体は意識しないうちに発汗で深部体温を下げ、入眠の準備をしています。そのため、しっかりと水分補給をしておかないと、体内の水分が足りず発汗による体温調節がうまくいかないため、睡眠の質が悪くなってしまうことがあります。
温かい飲み物でリラックス
また、温かい飲み物を飲むと自律神経である副交感神経が優位となり、身体がリラックスした状態になります。温かい飲み物で、深部体温を一時的にあげてから、それが下がってくると入眠しやすくなりますし、胃腸の働きを穏やかにする効果もあるので、温かい飲み物は上質な睡眠を得るためには試したいひとつです。 ただし温かい飲み物は、入眠の1時間以上前に摂っていただくように注意してください。
ブルーライトにはご用心
そして入眠前に注意をしていただきたいのはブルーライト。スマートフォンやパソコンなどから発せられる強い光は、眠りを誘う作用がある睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を妨げ、寝付きが悪くなる原因になります。就寝前はできるかぎり使用を控えましょう。
睡眠を助ける飲み物
白湯
60度程度のぬるめの白湯をゆっくりと飲むことで、内臓を温めることができます。温かい飲み物で、副交感神経が優位となりリラックス効果もあります。熱い白湯を飲むと交感神経が優位になり眠りの妨げとなりやすいため、ぬるめの白湯にするのがポイントです。温かい飲み物を摂ると「ふーっ」とため息がでますが、そのリラックス感が大切です。
ハーブティー
ハーブティーには、リラックス効果や自律神経を整える効果、ストレスの軽減効果などがあり、快眠を促す効果を期待できます。また、豊かな香りを吸い込むことで、香りが脳に直接届きリラックス効果を高めてくれます。ただし、ハーブティーには「カフェイン」を含む紅茶やマテ茶等をブレンドしたものもあります。就寝前に飲むと、カフェインによる覚醒作用や利尿作用で、寝付きを悪くしてしまう可能性があるので注意してください。
ホットミルク
牛乳にはトリプトファンという成分が含まれており、精神の安定を促してくれるセロトニンというホルモンを作るのに重要な働きをします。また、セロトニンはメラトニンという睡眠を促進する成分の原料にもなります。つまり、ホットミルクを飲むことで、睡眠効果のあるメラトニンの分泌を促すことに繋がるため、快眠したい方におすすめの飲み物になります。さらに、トリプトファンは大豆製品にも含まれているので、豆乳にも睡眠促進効果があります。
睡眠改善のための水分摂取タイミング
入眠前には、精神的な緊張を和らげてリラックスでき、身体を温めてくれる飲み物を摂るのがおすすめです。ただ入眠ギリギリに摂ると、深部体温が上がってしまい消化器官や脳が活性化し、リラックスすることができなくなる可能性もあります。そのため、温かい飲み物は入眠1時間以上前に摂っていただき、入眠直前にのどの渇きをいやしたい場合は、常温の水をお薦めします。 また、ゆっくりと飲むことで胃腸に負担をかけることなく、飲み物に含まれている栄養や成分をしっかり吸収できます。飲む量が多すぎると、トイレに行きたくなって途中覚醒してしまいますので、コップ1杯くらいまでを目安にしてください。
睡眠の質を妨げる飲み物
アルコール
アルコールは睡眠導入時には効果がありますが、のどが渇いたり利尿効果があるため、中途覚醒や早朝覚醒の原因となって眠りを浅くしてしまう懸念があります。またアルコールを摂取して眠ることが習慣になっていると、同じ量では入眠できなくなり日に日に摂取量が多くなってしまいます。そのことが長期化すると、肝障害やアルコール依存症などに陥る危険性もあるので注意が必要です。
珈琲や紅茶
入眠前にカフェインを含むコーヒーや紅茶を摂取すると、脳が覚醒して寝付きが悪くなり、眠りの質も低下してしまう可能性があります。
一方で、コーヒーには血流促進効果があり、香り成分にはリラックス効果があると言われています。寝る前にコーヒーを取り入れたい場合は、カフェインを取り除いたディカフェコーヒーにするのが良いでしょう。
エナジードリンクなど
残業が多い方や受験勉強で夜遅くまで起きている方は、エナジードリンクを利用することもあるでしょう。コーラやエナジードリンクは、カフェインを多く含む飲み物の代表です。カフェインを摂りすぎてしまうと、入眠の障害となるだけでなく、慢性化すると気分が落ち着かず不安になったり、手足の震えが生じたりするなどの依存症になってしまうこともありますので注意が必要です。
睡眠こそ生活の中心におくべき活動
睡眠は日常のあたりまえになっているので、どうしても軽んじて考えられがちな風潮を感じます。また睡眠そのものについても、まだ科学的に解明できていないことが多いことも、その風潮を助長しているのかもしれません。
けれども考えてみて欲しいのです。睡眠が不足している、あるいは自覚はないけれど不足していたらどうなるでしょうか。残念ながら本来持っている力を存分に発揮することができないのです、自分の力はこんなんもんじゃないはず、その背景には睡眠が大きく関わっています。
例えば「今日は奮発してステーキにしよう」と、食事では生活のなかでメリハリがあります。運動でもそうです、明日は休みだから少しハードなトレーニングで追い込んでおこうとか。睡眠についてはどうでしょうか、今日は奮発して質の高い睡眠をしよう、とかはできないのです。できるのは、休日だから寝れるだけ寝よう、という時間の量的なものだけ。
ただ残念ながら、1日で長時間眠ったとしても睡眠不足の蓄積は解消できないだけでなく、不規則な生活リズムはかえって体調を崩す原因になったりしますから注意が必要です。生活リズムは、睡眠の基ともなっている生体リズムに合わせることが求められます。そう考えると、健やかな生活を求めるのであれば、なによりも睡眠という活動を生活の中心に置くことが大切です。
睡眠は「すっきりした」という体感を大切に
3人に1人は悩んでいるという睡眠。厚生労働省の報告では、睡眠の悩みとして「睡眠途中に目が覚めて困った」「日中、眠気を感じた」「睡眠全体の質に満足できなかった」などが挙げられています。 参考:厚生労働省健康実態の調査
コロナ禍における日常生活の大きな変化によって、生活のリズムが乱れて睡眠に悩まれる方も多くいるようです。まだ睡眠については、解明されていないことが多いのも事実、ですから科学的根拠のない一般論だけに惑わされずに、自身の体感を基に「すっきりした」と感じられる睡眠を心がけてください。昼間にあくびがとまらない、集中力が続かないというのは、睡眠不足が原因だと考えられますので、自覚を持って睡眠環境の改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。
自分に合った睡眠環境を整えよう
睡眠環境改善に直ぐに有効なグッズ
人生の1/3以上の時間を過ごすのがベッド(あるいは布団)。本質的な意味でのマイホームが寝室であり、ベッドなのです。この環境を機能的に改善することだけで睡眠の質は向上します。睡眠の質が向上すれば、疲労が回復できたり、免疫力が高まって病気になりにくい身体になったりと、生活全体の質が向上します。そして、なによりもグッズは今日からでも改善できる、もっとも簡単な睡眠環境改善法のひとつです。
脳を休めるためストレスのない枕
脳を休めることが大きな目的でもある睡眠にとって、枕はとても大切なグッズです。頭をしっかりと支えてくれながら、その高さや固さがストレスにならないもの、そして頭部の熱を放射できる通気性の高いものを選んでください。遠征の多いプロアスリートは、マイ枕を持参して睡眠環境を守っているということからも、睡眠における枕の大切さは理解いただけると思います。
そこでお薦めしたいのは「スタンフォード式最高の睡眠」著者であるスタンフォード大学医学部精神科教授/スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所所長の西野精治医学博士がプロデュースしている枕です。 西野精治医学博士がプロデュースしているBRAIN SLEEPの枕はこちら
眠り始めの90分深く眠ることを目的にした枕 眠り始めの90分を深く眠ることができれば、その後の睡眠全体の質も向上するという考えの基に、入眠時の深部体温(体の内側の温度)を下げる事に着目し開発された枕です。脳の温度も深部体温と同じ動きを示しますので、就寝中に脳を冷やす(頭部の熱がこもらない)事で良質な睡眠を手に入れる事ができるようになると開発された、世界最高峰の科学的根拠に基づいた枕です。
睡眠は優先して質を高めるという意識へ
限られた時間のなかで、やるべきことややりたいことが沢山あると、ついつい睡眠時間を削ってしまいがちです。けれども、やるべきことを高い生産性で行うには、しっかりと睡眠をしなければ実現はできません。
仕事や趣味などに集中力高く、しなやかな行動でパフォーマンスを発揮するためには、なによりも優先して”睡眠の環境と時間をつくること”が大切です。睡眠は、疲れたから眠るのではなく、脳と身体の仕組みに合わせて積極的に質を高めていくということが求められています。
睡眠の質は生活の質(QOL=quality of life)に直結していますので、健康寿命を延ばすためには、日々行う睡眠について正しく理解し、「すっきりした」と感じられるような睡眠をとれるように心がけてください。関連情報:健康寿命の課題と対応
Have a good sleep.
西村公志 睡眠健康指導士、健康管理士。
著書「感動できる柔らかなココロがマーケットを創造する」(アスペクト)。マーケティングコンサルタントとして活動するなかで法人経営者の健康管理における危機意識を感じ、正しい情報をお伝えできるようにと健康の中でも人生の1/4以上の時間を費やす睡眠と睡眠に関わる健康管理について学び続けている。
参照:厚生労働省 睡眠と健康 参照:日本睡眠学会 医療機関:日本睡眠学会 専門医
※できるかぎり最新の情報を基に更新を重ねているため、掲載初期のものから情報が更新されていることがあります、あらかじめご了承ください。
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