いったい何時間眠れば質の高い睡眠になるの?そんな声も聞こえてきそうな睡眠。睡眠は、個人差や年齢差がが大きく、一概に何時間というのを定義するのは難しいようです。6時間でも充分という人もいれば、8時間でも寝足りないという人がいるのも事実。一般的という意味においてでは、7時間30分前後というのが日本人にとって適した睡眠時間といえそうです。
睡眠時間と疲労回復度の関係
睡眠時間と疲労回復度
一般的に必要な睡眠時間は年齢で変わります。年齢が若い人ほど長く、成人に向かうにつれて短くなり、老人はさらに短くなります。必要な睡眠時間は、誰しもが平均的な睡眠時間で決まるものではありません。長い睡眠時間を必要とする人、短くてもよい人など、人によってさまざまなようです。
8時間の睡眠時間でパフォーマンス向上
ニュージーランドで20歳前後の学生アスリート82名に、睡眠時間とパフォーマンスについての調査をしたところ、8時間以上の睡眠で怪我や疾病のリスクは2割軽減され、パフォーマンスが向上するという調査結果があります。このことからも、一定の物理的な睡眠時間は身体にとって有意であることは間違いないようです。
一般的な平均睡眠時間
睡眠時間を調べた数々の論文をまとめたデータによると、睡眠時間は10歳までは8~9時間、15歳で約8時間、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間ということが報告されています。
ショートスリーパー
何度も繰り返しとなりますが、睡眠時間には個人差があります。普通の人では、足りない睡眠時間でも平気な人はいます。睡眠時間が6時間未満でも、日中眠くなったりせずに快適に過ごせる人のことを「短眠者(ショートスリーパー)」と呼んでいて、日本人では6%~8%が該当します。
ロングスリーパー
逆に長時間眠らないと体調が悪く10時間以上の睡眠を要する人のことを「長眠者(ロングスリーパー)」と呼んでいて、日本人では4~6%が該当するといわれています。もちろん、職業や年齢によっても変化しますので、加齢とともに短くなることはあるようです。
大切なのは「朝起きてスッキリとしている」という実感
このように睡眠時間ということでいうと、10%前後の方は一般の方とは違うというのが実態です。ですので抽象的にはなってしまうのですが、睡眠にとってなによりも大切なのは「朝起きてスッキリとしている」と感じられるか否かです。朝起きて、身体が怠い、気力がない、眠気が消えないなどと感じているとしたら、その睡眠時間は適してはいない可能性が高いので注意してください。
名古屋大学の実験では適した平均睡眠時間は6.5~7.5時間
40歳から79歳の男女約10万人について10年間の追跡調査をしたもので、平均睡眠時間は男性7.5時間、女性7.1時間。10年後の死亡率がいちばん低かったのは、睡眠時間が7時間(6.5時間以上7.5時間未満)の人たちで、睡眠時間がそれより短くなるほど、あるいは長くなるほど、死亡リスクが増しているという研究結果があるようです。
睡眠で時間とともに大切なポイント
時間では一概に測りにくい睡眠ですが、睡眠不足には注意が必要なことは言うまでもありません。睡眠は、日中のパフォーマンスを高めるために不可欠のものですから、繰り返しになりますが、まずは朝起きて「スッキリした」という体感を大切にしてください。
睡眠を考える上で大切なポイント
寝入りの3時間で深く眠れているか
質の良い睡眠は、入眠からの3時間が重要だといわれています。この3時間中にも、レム睡眠とノンレム睡眠が繰り返されますが、この時間におけるノンレム睡眠が深いものであれば、質は高くなります。関連記事:睡眠と健康寿命
起床から4時間後眠気がないか
起床してから4時間後というのは、しっかりと睡眠ができていれば脳の働きが良い、最も頭が冴えている時間帯になります。この時間帯に眠気があるようでは質の良い睡眠をしているとはいえません。
スッキリを実感しているか
睡眠は個人差も大きく時間など定量的な指標だけで優劣を判断することはできません。なによりも大切なのは、朝起きてスッキリしたという実感があるかどうかということです。たとえ短い睡眠時間であったとしても、スッキリしていると体感できれば、それはあなたにとって質のよい睡眠をしているということです。
睡眠こそ生活の中心におくべき活動
睡眠は日常のあたりまえになっているので、どうしても軽んじて考えられがちな風潮を感じます。また睡眠そのものについても、まだ科学的に解明できていないことが多いことも、その風潮を助長しているのかもしれません。
けれども考えてみて欲しいのです。睡眠が不足している、あるいは自覚はないけれど不足していたらどうなるでしょうか。残念ながら本来持っている力を存分に発揮することができないのです、自分の力はこんなんもんじゃないはず、その背景には睡眠が大きく関わっています。
例えば「今日は奮発してステーキにしよう」と、食事では生活のなかでメリハリがあります。運動でもそうです、明日は休みだから少しハードなトレーニングで追い込んでおこうとか。睡眠についてはどうでしょうか、今日は奮発して質の高い睡眠をしよう、とかはできないのです。できるのは、休日だから寝れるだけ寝よう、という時間の量的なものだけ。
ただ残念ながら、1日で長時間眠ったとしても睡眠不足の蓄積は解消できないだけでなく、不規則な生活リズムはかえって体調を崩す原因になったりしますから注意が必要です。生活リズムは、睡眠の基ともなっている生体リズムに合わせることが求められます。そう考えると、健やかな生活を求めるのであれば、なによりも睡眠という活動を生活の中心に置くことが大切です。
睡眠は「すっきりした」という体感を大切に
3人に1人は悩んでいるという睡眠。厚生労働省の報告では、睡眠の悩みとして「睡眠途中に目が覚めて困った」「日中、眠気を感じた」「睡眠全体の質に満足できなかった」などが挙げられています。 参考:厚生労働省健康実態の調査
コロナ禍における日常生活の大きな変化によって、生活のリズムが乱れて睡眠に悩まれる方も多くいるようです。まだ睡眠については、解明されていないことが多いのも事実、ですから科学的根拠のない一般論だけに惑わされずに、自身の体感を基に「すっきりした」と感じられる睡眠を心がけてください。昼間にあくびがとまらない、集中力が続かないというのは、睡眠不足が原因だと考えられますので、自覚を持って睡眠環境の改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。
自分に合った睡眠環境を整えよう
睡眠環境改善に直ぐに有効なグッズ
人生の1/3以上の時間を過ごすのがベッド(あるいは布団)。本質的な意味でのマイホームが寝室であり、ベッドなのです。この環境を機能的に改善することだけで睡眠の質は向上します。睡眠の質が向上すれば、疲労が回復できたり、免疫力が高まって病気になりにくい身体になったりと、生活全体の質が向上します。そして、なによりもグッズは今日からでも改善できる、もっとも簡単な睡眠環境改善法のひとつです。
脳を休めるためストレスのない枕
脳を休めることが大きな目的でもある睡眠にとって、枕はとても大切なグッズです。頭をしっかりと支えてくれながら、その高さや固さがストレスにならないもの、そして頭部の熱を放射できる通気性の高いものを選んでください。遠征の多いプロアスリートは、マイ枕を持参して睡眠環境を守っているということからも、睡眠における枕の大切さは理解いただけると思います。
そこでお薦めしたいのは「スタンフォード式最高の睡眠」著者であるスタンフォード大学医学部精神科教授/スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所所長の西野精治医学博士がプロデュースしている枕です。 西野精治医学博士がプロデュースしているBRAIN SLEEPの枕はこちら
眠り始めの90分深く眠ることを目的にした枕 眠り始めの90分を深く眠ることができれば、その後の睡眠全体の質も向上するという考えの基に、入眠時の深部体温(体の内側の温度)を下げる事に着目し開発された枕です。脳の温度も深部体温と同じ動きを示しますので、就寝中に脳を冷やす(頭部の熱がこもらない)事で良質な睡眠を手に入れる事ができるようになると開発された、世界最高峰の科学的根拠に基づいた枕です。
睡眠は優先して質を高めるという意識へ
限られた時間のなかで、やるべきことややりたいことが沢山あると、ついつい睡眠時間を削ってしまいがちです。けれども、やるべきことを高い生産性で行うには、しっかりと睡眠をしなければ実現はできません。
仕事や趣味などに集中力高く、しなやかな行動でパフォーマンスを発揮するためには、なによりも優先して”睡眠の環境と時間をつくること”が大切です。睡眠は、疲れたから眠るのではなく、脳と身体の仕組みに合わせて積極的に質を高めていくということが求められています。
睡眠の質は生活の質(QOL=quality of life)に直結していますので、健康寿命を延ばすためには、日々行う睡眠について正しく理解し、「すっきりした」と感じられるような睡眠をとれるように心がけてください。関連情報:健康寿命の課題と対応
Have a good sleep.
西村公志 睡眠健康指導士、健康管理士。 著書「感動できる柔らかなココロがマーケットを創造する」(アスペクト)。マーケティングコンサルタントとして活動するなかで法人経営者の健康管理における危機意識を感じ、正しい情報をお伝えできるようにと健康の中でも人生の1/4以上の時間を費やす睡眠と睡眠に関わる健康管理について学び続けている。
参照:厚生労働省 睡眠と健康 参照:日本睡眠学会 医療機関:日本睡眠学会 専門医
※できるかぎり最新の情報を基に更新を重ねているため、掲載初期のものから情報が更新されていることがあります、あらかじめご了承ください。
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