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睡眠の質をあげる基礎知識

日本国民の5人に1人、60歳以上となると3人に1人が睡眠に悩まれているようです。自分に合った快適な睡眠をとれるようにするにはどうすればいいのでしょうか。まずは睡眠というものについて正しく理解をすることが大切です、睡眠には生体リズムが大きく関わっています、そのリズムはどのように働いているのかを理解し、そのリズムに合わせていくことができれば睡眠の質は改善されると考えられています。


睡眠の質をあげるための基本的理解

 

睡眠改善のための2つの仕組み


睡眠の質をあげるためには、身体の仕組みを理解することが大切です。睡眠を調節する仕組みには、睡眠の長さや質を調節する仕組み(生体恒常性維持機構)、いつ眠るかという睡眠のタイミングを調節する仕組み(生体リズム機構)の2つが働いています。


睡眠の長さや質を調節する仕組みは、レム睡眠やノンレム睡眠、あるいは睡眠と覚醒を交互に発現させる中枢の神経機構が関係していて、昼間に身体と脳を活動させて「疲れると眠る」という恒常性維持機構(ホメオスタシス機構)として働きます。


睡眠のタイミングを調節する仕組みは、生物時計機構と呼ばれ、生物時計(体内時計)が働くことにより、朝には起きて夜には眠るようにセットされています。昼間に眠ろうとしても眠れなかったり、昼間にあまり活動しなくても夜になると自然に眠くなるのは生物時計(体内時計)による睡眠調節が行われているからなのです。毎日昼夜が逆転したような生活をする人では、生物時計が機能できてなく睡眠調節がうまくいっていない状態だともいえます。


生体恒常性(ホメオスタシス)とは


ホメオスタシス(生体恒常性)とは、身体の外から受ける環境や内部の変化にかかわらず、身体の状態を一定に保つことを言います。身体の状態とは、体温、血糖、免疫のことで、それらが一定を保っていることで、生体活動が安定しています。身体の外から受ける環境というのは、気候(天気や気温や湿度)などで、内部の変化とは就寝場所であったりを指します。

生体リズムとは


例えば、洞窟のような昼夜も判らず時刻を知ることもできない隔離された環境に置かれても、人は約24時間の規則正しいリズムで睡眠と覚醒が行われます。睡眠・覚醒リズムは、生体リズム(体内時計)によって制御を受けていることがわかります。睡眠・覚醒リズム以外にも、体温などの自律神経系、内分泌ホルモン系、免疫・代謝系などが、体内時計によって約1日のリズムで調節されています、このような約1日の周期をもつリズムのことは、概日リズム(サーガディアンリズム)と呼ばれています。

生体リズム(体内時計)が睡眠に関わる生体現象としては、メラトニンリズム、睡眠覚醒リズム、深部体温リズム、ホルモンの一種であるコーチゾルリズムなどがあります。



メラトニンリズム

メラトニンは、睡眠・覚醒リズムやホルモン分泌リズムなどの生体リズムの調整作用があります。このメラトニンは、夜になると多く分泌されて睡眠を促すのですが、この分泌には朝陽を浴びてセロトニンというホルモンを分泌することと相関しています。夜眠るためには、しっかりと朝陽を浴びないといけないのです、睡眠の準備は朝から始まっています。

睡眠・覚醒リズム

文字通り睡眠と覚醒を知らせてくれます。体内時計によって朝には目覚め、夜には眠気を催すようにセットされています。これは、生物として持って生まれた遺伝子に組み込まれていて、洞窟などの昼夜が判別しにくい環境にあっても、ほぼ正確に朝になると目が覚めて、夜になると眠たくなるようです。ただ、人間の生体リズムというのは厳密に時計の24時間と合っているわけではなく、少し長いようです。その誤差を修整するのが朝陽です、朝陽を浴びると生体リズムの誤差は調整されます。


深部体温リズム

眠りに入る時には、手足から外界に熱を放射することで身体の内部の温度が下がっていきます。眠いとき、赤ちゃんの手や足が温かくなるのと同じで、熱を体外に逃がすことで体の内部の温度を下げ、脳の温度も下がって眠りに入ります。疲れた脳が オーバーヒートしないように、脳の温度を下げて休ませ、脳の疲労を回復させるのが睡眠、とくにノンレム睡眠です。

参考:公益財団法人健康・体力づくり事業団 睡眠をおこすふたつの仕組み    厚生労働省 睡眠・覚醒リズム障害


睡眠の質に関わるホルモン

 

睡眠の質をあげる3つのホルモン


睡眠の質は、体温調節や体内修復・成長に関連するホルモン分泌と相関関係があり、ホルモンは体内の代謝活動促進・自律神経のバランスを整える大切な役割を担っています。このホルモンの分泌も、生体リズムが基になっています。


①成長ホルモン

成長ホルモンは、眠りに入ってからの3時間に分泌が最大になっています。そして1日に分泌される成長ホルモンの約70%が睡眠中となっています。成長ホルモンには、筋肉、骨、内臓、皮膚などのダメージを修復し、新陳代謝をスムーズに促し、身体をメンテナンスし、疲労を回復させるといった働きがあります。また、脂肪の分解、免疫力アップ、ストレス軽減などにも関与しています。ただし、成長ホルモンをたっぷり分泌させるには、眠り始めの深い睡眠が重要です。


②メラトニン

眠りを促すホルモンのメラトニン。このメラトニンが不足していると、入眠に障害が生まれてきます。起床後、朝の光を感じた情報が脳に届いてから、子供は約14時間後、大人は約16時間後にメラトニンが分泌されて眠たくなります。そしてこのメラトニンは、眠ってから約3時間後に分泌量が最大となるリズムを持っています。メラトニンは、睡眠を促すだけでなく、強い抗酸化作用があり、酸素と反応して生み出された活性酸素を除去する抗酸化除去機能もあります。関連:酸化ストレスが健康寿命を縮める


③コルチゾール

コルチゾールには、血糖値と血圧を上げて起床の準備をする働きがあり、起床3時間前から分泌が始まり、起床時にピークを迎えるようになっています。コルチゾールの分泌が十分にないタイミングで目が覚めると、スッキリしたという体感はなく身体的に負担を感じてしまいます。ですから


生体リズムの整えかた


1日の時間を基に機能している概日リズム(サーガディアンリズム)が狂ってしまったら、入眠時間や睡眠時間にも大きな影響を与えてしまいます。


朝陽を浴びることで体内時計をリセット


狂ってしまった体内時計は、朝の光を受けることでリセットされます。朝起きて、しっかりと太陽光を浴びることで、体内時計は調整を行い、セロトニンというホルモンを分泌するところから睡眠の準備が始まります。朝陽とともに1日を始動する、これが人間が持つ生理的なあるべき行動スタイルなのでしょうね。「早起きは三文の徳」といわれますが、「早起きは睡眠をサポート」ですね、早起きこそが生活の基本なのですね。



睡眠こそ生活の中心におくべき活動

 

睡眠は日常のあたりまえになっているので、どうしても軽んじて考えられがちな風潮を感じます。また睡眠そのものについても、まだ科学的に解明できていないことが多いことも、その風潮を助長しているのかもしれません。

けれども考えてみて欲しいのです。睡眠が不足している、あるいは自覚はないけれど不足していたらどうなるでしょうか。残念ながら本来持っている力を存分に発揮することができないのです、自分の力はこんなんもんじゃないはず、その背景には睡眠が大きく関わっています。


例えば「今日は奮発してステーキにしよう」と、食事では生活のなかでメリハリがあります。運動でもそうです、明日は休みだから少しハードなトレーニングで追い込んでおこうとか。睡眠についてはどうでしょうか、今日は奮発して質の高い睡眠をしよう、とかはできないのです。できるのは、休日だから寝れるだけ寝よう、という時間の量的なものだけ。 ただ残念ながら、1日で長時間眠ったとしても睡眠不足の蓄積は解消できないだけでなく、不規則な生活リズムはかえって体調を崩す原因になったりしますから注意が必要です。生活リズムは、睡眠の基ともなっている生体リズムに合わせることが求められます。そう考えると、健やかな生活を求めるのであれば、なによりも睡眠という活動を生活の中心に置くことが大切です。

睡眠は「すっきりした」という体感を大切に


3人に1人は悩んでいるという睡眠。厚生労働省の報告では、睡眠の悩みとして「睡眠途中に目が覚めて困った」「日中、眠気を感じた」「睡眠全体の質に満足できなかった」などが挙げられています。 参考:厚生労働省健康実態の調査


コロナ禍における日常生活の大きな変化によって、生活のリズムが乱れて睡眠に悩まれる方も多くいるようです。まだ睡眠については、解明されていないことが多いのも事実、ですから科学的根拠のない一般論だけに惑わされずに、自身の体感を基に「すっきりした」と感じられる睡眠を心がけてください。昼間にあくびがとまらない、集中力が続かないというのは、睡眠不足が原因だと考えられますので、自覚を持って睡眠環境の改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。


自分に合った睡眠環境を整えよう


睡眠環境改善に直ぐに有効なグッズ


人生の1/3以上の時間を過ごすのがベッド(あるいは布団)。本質的な意味でのマイホームが寝室であり、ベッドなのです。この環境を機能的に改善することだけで睡眠の質は向上します。睡眠の質が向上すれば、疲労が回復できたり、免疫力が高まって病気になりにくい身体になったりと、生活全体の質が向上します。そして、なによりもグッズは今日からでも改善できる、もっとも簡単な睡眠環境改善法のひとつです。


脳を休めるためストレスのない枕

脳を休めることが大きな目的でもある睡眠にとって、枕はとても大切なグッズです。頭をしっかりと支えてくれながら、その高さや固さがストレスにならないもの、そして頭部の熱を放射できる通気性の高いものを選んでください。遠征の多いプロアスリートは、マイ枕を持参して睡眠環境を守っているということからも、睡眠における枕の大切さは理解いただけると思います。


そこでお薦めしたいのは「スタンフォード式最高の睡眠」著者であるスタンフォード大学医学部精神科教授/スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所所長の西野精治医学博士がプロデュースしている枕です。 西野精治医学博士がプロデュースしているBRAIN SLEEPの枕はこちら

眠り始めの90分深く眠ることを目的にした枕 眠り始めの90分を深く眠ることができれば、その後の睡眠全体の質も向上するという考えの基に、入眠時の深部体温(体の内側の温度)を下げる事に着目し開発された枕です。脳の温度も深部体温と同じ動きを示しますので、就寝中に脳を冷やす(頭部の熱がこもらない)事で良質な睡眠を手に入れる事ができるようになると開発された、世界最高峰の科学的根拠に基づいた枕です。


睡眠は優先して質を高めるという意識へ


限られた時間のなかで、やるべきことややりたいことが沢山あると、ついつい睡眠時間を削ってしまいがちです。けれども、やるべきことを高い生産性で行うには、しっかりと睡眠をしなければ実現はできません。


仕事や趣味などに集中力高く、しなやかな行動でパフォーマンスを発揮するためには、なによりも優先して”睡眠の環境と時間をつくること”が大切です。睡眠は、疲れたから眠るのではなく、脳と身体の仕組みに合わせて積極的に質を高めていくということが求められています。


睡眠の質は生活の質(QOL=quality of life)に直結していますので、健康寿命を延ばすためには、日々行う睡眠について正しく理解し、「すっきりした」と感じられるような睡眠をとれるように心がけてください関連情報:健康寿命の課題と対応


Have a good sleep.


西村公志 睡眠健康指導士、健康管理士。 著書「感動できる柔らかなココロがマーケットを創造する」(アスペクト)。マーケティングコンサルタントとして活動するなかで法人経営者の健康管理における危機意識を感じ、正しい情報をお伝えできるようにと健康の中でも人生の1/4以上の時間を費やす睡眠と睡眠に関わる健康管理について学び続けている。

 

※できるかぎり最新の情報を基に更新を重ねているため、掲載初期のものから情報が更新されていることがあります、あらかじめご了承ください。

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