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睡眠不足が健康寿命を縮める

睡眠不足は、健康寿命延伸の障壁となっている生活習慣病にも深く関わっていることが解っています。睡眠不足は直ぐに病気に繋がるものではないですが、時間をへて将来の病気のリスクは確実に高まります。 参考:健康寿命の課題と対応


睡眠の悩み

 

満足度の低い睡眠実態


厚生労働省の調査によれば、5人に1人が「睡眠で休養が取れていない」、「何らかの不眠がある」と回答しています。 加齢とともに不眠は増加し、60歳以上の方では約3人に一人が睡眠問題で悩んでいます。 そのため通院している方の20人に1人が不眠のため睡眠薬を服用しているという実態があります。参考:厚生労働省


睡眠は充実した毎日を送り、パフォーマンスをアップさせるために、とても大切な時間です。心地良く生活することができ、自分の本来持っている力を最大限発揮できるのは、質の良い睡眠のおかげ。睡眠は、本当に自分がやりたいことや、叶えたいことのために不可欠なものですが、なぜ上手く眠れなくなるのでしょうか。


身体のメカニズムの理解


上手く眠るためには、身体のメカニズムを理解することが必要です。睡眠には、基本的な生体リズムが大きく関わっています。


体温の変化と睡眠


人の体温にはリズムがあり、活動的な日中は上昇し、夜になると脳や身体を休めるために、手足から熱を放射して体温を下げようとします。これは、スムーズな入眠への準備で、体温が下がると休息状態になって自然と眠気が訪れます。しかし日頃から手足が冷えていると、熱をうまく放射できずに体温の変化が起こらないため、なかなか寝付けないといった悩みにつながりやすいのです。

また、睡眠中にも体温は変化していて、深い眠りのノンレム睡眠時には体温は1度も下がります。そうすることで血流や内臓機能の働きを最小限に抑えて安静を保ち、脳をはじめ身体全体を休めるのです。そして、ノンレム睡眠からレム睡眠への移行時には元の体温に戻ります。寝室の室温が、暑すぎたり寒すぎたりすると、このような体温調整がうまく働かないことがあるため、寝室を適温に保つことも睡眠の質を高める重要な要素です。


入浴で深部体温を上げる

入眠のために入浴はとても効果的です。入眠準備として,、体温を下げることで休息状態に入っていきますので、入浴で身体の深部を温めておくことで、この体温調整が促され、スムーズに眠りに入ることができるようになります。

38~40度の少しぬるめのお湯にうっすら汗が浮かぶくらいまでゆっくり浸かると、副交感神経が優位になって、身体はリラックスモードに、そして深部体温も高くなり、体温放射が促されるようになります。気をつけたいのが、42度以上の高温のお湯での入浴は、交感神経が活発になり、脳と身体は興奮状態になるため、就寝前の入浴には適していませんのでご注意ください。


睡眠不足

 

睡眠不足の定義というのは難しいものがあります、個人差もあり、一概に7時間以下というように睡眠時間で区切るということでもありません。確かなのは、症状として「日中に眠くなってしまう」「すぐに欠伸がでる」などといった状態が続くこと、これが睡眠不足です。



睡眠不足と不眠との違い

睡眠不足は、睡眠をとる時間が十分に確保できていない状態を指しています。 不眠は、眠るために寝床に入っても寝つきが悪いなど、眠るのが困難で質の良い睡眠を得られない状態を指しています。 ちなみに不眠は病気とされていて、不眠症とは、入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害などの睡眠問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が症状として現れます。 睡眠不足は生活環境の改善などが必要ですし、不眠の場合は専門医の診察を受け、原因を理解したうえで対処を医師とご相談ください。いずれにしても睡眠不足も不眠も、日中の眠気の原因となるだけではなく、何日も続くとさまざまな心身の不調の原因となりますので、睡眠環境の改善を図ることが必要です。


睡眠不足がおよぼす脳と身体への影響


睡眠不足による経済損失は15兆円という試算があるように、睡眠不足は個人の健康だけではなく、大きな社会問題でもあります。では、睡眠不足による影響とはどのようなものがあるのか見ておきましょう。


生産性の低下

睡眠不足では、集中力、判断力、思考力が低下し、ミスや事故が増えます。車の運転では、睡眠不足が事故を招くこともわかっています。ある研究では、6時間睡眠が2週間ほど続くと徹夜をしたのと同じレベルにまでパフォーマンスは低下するようですので、生産性の向上を図るのであれば、睡眠不足は大敵です。


免疫力の低下

睡眠不足だと免疫力が低下し風邪などの感染症にかかりやすくなります。免疫とは、ウイルス・細菌・病原体などの異物が体に侵入してきた時それを異物だと判断して、身体から取り除く働きを担っています。


美容力の低下

睡眠不足になると、交感神経が優位に働き、精神的にも身体的にも緊張状態が続いてしまいます。 交感神経には男性ホルモンを活性化する作用があるため、皮脂分泌が増加し、肌荒れをまねく原因となります。また成長ホルモンの分泌が減り、肌荒れや食欲を増進するホルモンのグレリンが増加し、食欲を抑える「レプチン」が減少し肥満を招きますので、睡眠不足は美容にとって大敵となります。美しありたいなら、しっかりと眠ること、忘れないでください。


睡眠不足は生活習慣病に繋がっている


厚生労働省のデータによると、睡眠時間が6時間未満では狭心症や心筋梗塞の有病率が上昇、5時間以下では脳・心臓疾患の発症率が上昇、4時間以下では冠動脈性心疾患による死亡率が、睡眠時間7時間以上8時間未満の方の約2倍となるなど、睡眠時間が1日4~6時間以下の睡眠不足状態が長期間にわたると脳・心臓疾患の有病率や死亡率が高まることが報告されています)。

睡眠不足は、健康寿命延伸の障壁となっている生活習慣病にも深く関わっていることが解っています。睡眠不足は直ぐに病気に繋がるものではないですが、時間をへて将来の病気のリスクは確実に高まります。


睡眠負債にならないように早めに対応


このような睡眠時間の不足による状態が続くことを「睡眠負債」といわれています。この負債は、まとめて眠るから帳消しというようにはならず、少しづつの睡眠不足が蓄積されて、身体を蝕んでいくので、毎日しっかりと眠れるように睡眠環境の改善を心がけることが必要です。


自分に合った睡眠時間を知ろう


では、睡眠不足ではない自分に合った睡眠時間はどれくらいなのか、ということが気になりますが、適した睡眠時間を見つけるためのチェックポイントがあります。それは「起床から4時間後に眠気があるかどうか」というものです。 起床してから4時間後は、脳の働きが良い、最も頭が冴えている時間帯になります。この時間にも、集中力がなくボーッとしたり、あくびをしていたら、睡眠が足りていないというサインになります。2週間くらいチェックするなかで「この日が1番頭が冴えていた」という日の睡眠時間が、あなたに適した睡眠時間だと考えてください。

睡眠こそ生活の中心におくべき活動

 

睡眠は日常のあたりまえになっているので、どうしても軽んじて考えられがちな風潮を感じます。また睡眠そのものについても、まだ科学的に解明できていないことが多いことも、その風潮を助長しているのかもしれません。

けれども考えてみて欲しいのです。睡眠が不足している、あるいは自覚はないけれど不足していたらどうなるでしょうか。残念ながら本来持っている力を存分に発揮することができないのです、自分の力はこんなんもんじゃないはず、その背景には睡眠が大きく関わっています。


例えば「今日は奮発してステーキにしよう」と、食事では生活のなかでメリハリがあります。運動でもそうです、明日は休みだから少しハードなトレーニングで追い込んでおこうとか。睡眠についてはどうでしょうか、今日は奮発して質の高い睡眠をしよう、とかはできないのです。できるのは、休日だから寝れるだけ寝よう、という時間の量的なものだけ。 ただ残念ながら、1日で長時間眠ったとしても睡眠不足の蓄積は解消できないだけでなく、不規則な生活リズムはかえって体調を崩す原因になったりしますから注意が必要です。生活リズムは、睡眠の基ともなっている生体リズムに合わせることが求められます。そう考えると、健やかな生活を求めるのであれば、なによりも睡眠という活動を生活の中心に置くことが大切です。

睡眠は「すっきりした」という体感を大切に


3人に1人は悩んでいるという睡眠。厚生労働省の報告では、睡眠の悩みとして「睡眠途中に目が覚めて困った」「日中、眠気を感じた」「睡眠全体の質に満足できなかった」などが挙げられています。 参考:厚生労働省健康実態の調査


コロナ禍における日常生活の大きな変化によって、生活のリズムが乱れて睡眠に悩まれる方も多くいるようです。まだ睡眠については、解明されていないことが多いのも事実、ですから科学的根拠のない一般論だけに惑わされずに、自身の体感を基に「すっきりした」と感じられる睡眠を心がけてください。昼間にあくびがとまらない、集中力が続かないというのは、睡眠不足が原因だと考えられますので、自覚を持って睡眠環境の改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。


自分に合った睡眠環境を整えよう


睡眠環境改善に直ぐに有効なグッズ


人生の1/3以上の時間を過ごすのがベッド(あるいは布団)。本質的な意味でのマイホームが寝室であり、ベッドなのです。この環境を機能的に改善することだけで睡眠の質は向上します。睡眠の質が向上すれば、疲労が回復できたり、免疫力が高まって病気になりにくい身体になったりと、生活全体の質が向上します。そして、なによりもグッズは今日からでも改善できる、もっとも簡単な睡眠環境改善法のひとつです。


脳を休めるためストレスのない枕

脳を休めることが大きな目的でもある睡眠にとって、枕はとても大切なグッズです。頭をしっかりと支えてくれながら、その高さや固さがストレスにならないもの、そして頭部の熱を放射できる通気性の高いものを選んでください。遠征の多いプロアスリートは、マイ枕を持参して睡眠環境を守っているということからも、睡眠における枕の大切さは理解いただけると思います。


そこでお薦めしたいのは「スタンフォード式最高の睡眠」著者であるスタンフォード大学医学部精神科教授/スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所所長の西野精治医学博士がプロデュースしている枕です。 西野精治医学博士がプロデュースしているBRAIN SLEEPの枕はこちら

眠り始めの90分深く眠ることを目的にした枕 眠り始めの90分を深く眠ることができれば、その後の睡眠全体の質も向上するという考えの基に、入眠時の深部体温(体の内側の温度)を下げる事に着目し開発された枕です。脳の温度も深部体温と同じ動きを示しますので、就寝中に脳を冷やす(頭部の熱がこもらない)事で良質な睡眠を手に入れる事ができるようになると開発された、世界最高峰の科学的根拠に基づいた枕です。


睡眠は優先して質を高めるという意識へ


限られた時間のなかで、やるべきことややりたいことが沢山あると、ついつい睡眠時間を削ってしまいがちです。けれども、やるべきことを高い生産性で行うには、しっかりと睡眠をしなければ実現はできません。


仕事や趣味などに集中力高く、しなやかな行動でパフォーマンスを発揮するためには、なによりも優先して”睡眠の環境と時間をつくること”が大切です。睡眠は、疲れたから眠るのではなく、脳と身体の仕組みに合わせて積極的に質を高めていくということが求められています。


睡眠の質は生活の質(QOL=quality of life)に直結していますので、健康寿命を延ばすためには、日々行う睡眠について正しく理解し、「すっきりした」と感じられるような睡眠をとれるように心がけてください関連情報:健康寿命の課題と対応


Have a good sleep.

西村公志 睡眠健康指導士、健康管理士。 著書「感動できる柔らかなココロがマーケットを創造する」(アスペクト)。マーケティングコンサルタントとして活動するなかで法人経営者の健康管理における危機意識を感じ、正しい情報をお伝えできるようにと健康の中でも人生の1/4以上の時間を費やす睡眠と睡眠に関わる健康管理について学び続けている。 参照:厚生労働省 睡眠と健康 参照:日本睡眠学会 医療機関:日本睡眠学会 専門医

 

※できるかぎり最新の情報を基に更新を重ねているため、掲載初期のものから情報が更新されていることがあります、あらかじめご了承ください。

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