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ウエルネスの世界観と未来


ウエルネスの定義


ウエルネスは、米国のハルバート・ダン医師が1961年に提唱した言葉です。


「輝くように生き生きしている状態」と定義し、「本人が病気であるか否かだけに注目せず、健康を手段とし、生き生きと輝く人生を目指す姿勢や志向」が大切だと唱えています。ウエルネスとは、肉体的な健康だけを意味するのではなく、健康というものを広義的且つ総合的に捉えた概念です。



ヘルスより包括的な健康観であるウエルネス


ウェルネスとは、調子の良い状態を意味する英語「well」で、病気を意味する「illness」とは対照的な言葉です。


豊かで健やかな人生(ウエルネス)を達成するためのひとつが健康(ヘルス)であると考えられています。つまり肉体的健康だけで、人生は豊かになるものではなく、より広く総合的な健康観によるライフスタイルの構築こそが、ウエルネスの本質となります。



いまウエルネスが注目されるのはなぜ?


ウエルネスは、広義的・総合的に健康観を捉えたものであるため、スロー(ライフ)、エコ(環境共生)、オーガニック、ヨガやマインドフルネス、クリーンエネルギー、地産地消、エシカル消費などSDGsを志向している世界潮流に合致しているということが解ります。


物質的豊かさから精神的豊かさへ、より健康に、美しく、健康環境づくりと外なる自然環境の健康づくりを含めた、人生を豊かに彩るライフスタイルの根幹となるウェルネスを志向しようととする動きは、ポストコロナでますます加速しているのではないでしょうか。



健康寿命の延伸に近道はなし


さらに日本では高齢化による介護問題は深刻であり、平均寿命と健康寿命(健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間のことで、男性71.19歳、女性74.21歳)を基にした介護が必要な年数というのは男性で9.79年、女性は12.93年ともなっています。健康寿命の延伸が、大きな課題となっており「輝くように生き生きしている状態」を、できるかぎり長らく維持できることが、社会にとっても個人にとっても大切になっています。 言葉にすると簡単ですが、実際に健康寿命の延伸には近道はなく、若いころからの積み重ねが結果として表れてくるのだと感じています。自身を見つめ、出来るかぎり安らかに穏やかに生きれるように、生活を改善していくことが大切です。なんといっても、命はお金では買うことができないのですから。

※厚生労働省「平成28年簡易生命表の概況」、「健康寿命の指標化に関する研究-健康日本21(第二次)等の健康寿命の検討-(平成27年度分担研究報告書)」



企業にとってのウエルネス


ウェルネス経営という観点で事業者からも注目が高まっています。このウエルネス経営というのは、企業が従業員の精神面・身体面の健康を守ろうという意識をもって経営するということです。病気やけがの未然防止や早期発見・対応、再発予防に力を入れる企業が増加しています。


疲労の蓄積等によって、心身の健康面に不安を抱える従業員は、生産効率の低下傾向があることが解っています。雇用側としても、生産性の低下は大きな問題のため、従業員が心身ともに健康的に労働できる環境を整え、監理し維持していくことが求められています。




輝くように生き生きしているために必要なこと


健全なる精神は、健全なる肉体に宿る


これは古代ローマの詩人ユヴェナリウスの言葉。もともとは「健やかな身体に健やかな心が育まれるといいね」というような願望だったそうですが、現代一般的には「健やかな心でいるためには健やかな身体であることが大切だよ」と解釈されています。つまり心と身体のバランスが健康には重要だということ、そこに異を唱える人は少ないのではないでしょうか。



ヘルスケアからウエルネスへの意識変革


ヘルス(健康)と聞いたとき、健康診断や診療結果など、医学的、定量的な物差しにより不健康、健康と決められていることが多いように感じます。診断基準や定義が変われば、これまで健康とされてきた人が、不健康とされるようなことも起こっているのが実状です。


ヘルスとは、実態としては“疾病対処産業”であり「受け身」となります。人々がこのビジネスの顧客となるのは、特定の症状や疾患に見舞われたり、身体に何らかの反応が現れたりした困ったときに限られます。正直なところ、できれば誰もこの産業の顧客にはなりたがらないはずです。



これに対して、健康に対する前向きなビジネスがウェルネス産業。何かに没頭する、熱中する、生き甲斐を見つけて楽しんでいる時、人々は、ヘルス(健康)を気にかける意識は希薄になっていることは間違いありません。



ウエルネスの実現へ行いたい5つのこと

 1・日常的に20分以上の運動をすること

 2・しっかりと質の高い睡眠をとること

 3・バランスの良い食事をすること

 4・主治医を決め定期検診を受けること

 5・ストレスを発散できる活動をもつこと



こうして見ると、特別なことではなく、誰もが解っていることを継続して行えるかがポイントとなります。けれども、言うは易し成すは難し。継続するというのは簡単なことではありません。 それぞれについては、また別途書かせていただきますが、特別なことではなく、心身によいと思えることを継続することが、ウエルネスライフを実現する近道なのです。


いまでは Move to Earn として走ったりウォーキングすることで暗号資産がもらえるというアプリケーションも生まれています。健康のためだけでなく、経済的にも、自然環境的にも改善できるということであれば、継続するモチベーションも向上するかもしれません。


ウエルネスの健康観と産業



ウエルネスはポジティブ産業


米国政府の経済顧問でもあった経済学者ポール・ゼイン・ピルツァーは、ウェルネス産業とは前向きで有望なビジネスだと語っています。


ヘルス(ケア)産業は、巨大な市場ではありますが、健康課題に敏感なシニア・高齢者層を中心顧客としたネガティブ産業であるのに対し、より健康で美しく、人生を豊かに彩るライフスタイルを目指すウェルネスはポジティブ産業であり、人種や性別、宗教、言語、国家を超えて、グローバルをターゲットにもできると考えられています。


ウエルネス市場の成長予測


世界ウェルネス機構(GWI)によると、ウェルネス市場はヘルスケア市場、クリーンエネルギー市場等を包含し、4兆5,000億ドル(≒477兆円)という巨大市場となっています(2020年)。


内訳では、パーソナルケア&ビューティ・アンチエイジング市場(1兆830億ドル)、ウェルネスフード(7,020億ドル)、ウェルネスツーリズム市場(6,390億ドル)、フィットネス市場(5,950億ドル)、予防医療市場(5,750億ドル)が上位を占めています。


近年最も注目される分野はウェルネス不動産で市場規模は1,340億ドルですが、2022年には2,000億ドル(21兆円)に、年間成長率は8%と予測され、今後も成長著しい分野と予測されています。


住まいの中に、どのようにウエルネスの概念が持ち込まれ、生活が豊かに変わるのでしょうか。IoTも実装されて、より暮らしやすくなるための技術に期待したいところです。


このようにウエルネスという概念が、健やかな社会において不可欠であるということは間違いないようです。ひとりひとりがウエルネスな生活を少し心がけるだけで、社会もウエルネスに変わっていきます。 ストレスを溜めないように自省し、あたり前のことを毎日継続する。シンプルで、安らかで、穏やかな生活こそが、ウエルネスだと思うのです。ウエルネスライフの実現で毎日の生活が彩られ、誰もが寿命まで自分らしく時間を使えますように

 

※できるかぎり最新の情報を基に更新を重ねているため、掲載初期のものから情報が更新されていることがあります、あらかじめご了承ください。

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