睡眠の質をあげるためには、生活習慣が大きく関わっています。睡眠の質をあげることは、日中の活動の質をあげることに直結していますので、ぜひとも実現したいもの。そこで絶対的に効果のある「朝陽を浴びること」と「腸内環境を整えること」のたったふたつを生活習慣化することをお薦めします。いままでなにをやっても上手く眠れない、というかたも何故ふたつの習慣が睡眠の質をあげるのかを理解したうえで是非お試しください。
睡眠の質をあげる大切な生活習慣 朝陽を浴びる
睡眠の質をあげるには生体リズムに合わせる
なによりも大切なのは生体リズムというものを理解して、そのリズムに合わせるということです。人間には生物時計機構が備わっていて、朝には起きて夜には眠るようにセットされています。昼間に眠ろうとしても眠れなかったり、昼間にあまり活動しなくても夜になると自然に眠くなるのは生物時計(体内時計)による睡眠リズム調節が行われているからです。できるだけ、この生体リズムに合わせるという意識を持つようにお願いします。 関連記事:睡眠の質をあげる基本知識
睡眠の質をあげるために朝の太陽光を浴びる
私たちには、生体リズムが備わっていて時間と共にリズムを刻んでいます。このリズムが整っていれば、昼間は元気に活動し、夜はぐっすり眠ることができます。リズムのスイッチを入れたり整えたりしてくれるのが朝陽です、正しくいうと朝の外光です、夜から朝に変わったということを強い光によって、しっかりと脳に信号を送るということです。これをぜひ生活習慣化して欲しいのです。
なぜ朝の光なの?
部屋の電気点ければいいんでしょ、明るいの苦手だし、という方もいらっしゃるかもしれません。夜から朝に変わったという信号には2500ルクス以上の明るさ(照度)が必要なのです。下の図を見てもらえれば解るように、太陽光以上の強い光は存在していません、朝起きて太陽光を浴びてもうらうことで、生体リズムと調和した覚醒のスイッチが入ります。この覚醒のスイッチを入れるというのが、なによりも大切なのです。覚醒のスイッチと睡眠のスイッチは実は同じで、朝に入れる覚醒スイッチが夜の睡眠へと繋がっています、覚醒と睡眠はセットになっているということも是非覚えておいてください。 逆にご注意いただきたいのは、夜間には強い光をできるかぎり浴びたりはしないようにしてください、入眠準備に入った生体リズムを狂わしてしまいます。夜は、白熱色の柔らかい光で照度も落としてリラックスできるようにしてみてください。
太陽光を浴びると生体リズムがリセットされてホルモンが分泌されます
朝起きて、しっかりと太陽光を浴びることで生体リズムは調整を行い、セロトニンというホルモンを分泌するところから睡眠の準備が始まります。セロトニンは別名幸せホルモンともいわれ、精神の安定などストレス抑制効果があり、体内で生成できるホルモンです。朝にセロトニンがしっかり分泌されるためには朝陽の強い光が必要です。そして、このセロトニンが分泌されることが、眠りのホルモンであるメラトニンの分泌につながっています。
眠りのホルモン”メラトニン”が夜しっかり分泌されるように
眠りを促すホルモンのメラトニン。このメラトニンが不足していると、入眠に障害が生まれてきます。起床後、朝の光を感じた情報が脳に届いてから、子供は約14時間後、大人は約16時間後にメラトニンが分泌されて眠たくなり始めます。このメラトニンは、眠ってから約3時間後に分泌量が最大となるリズムを持っています。またメラトニンは、睡眠を促すだけでなく、酸素と反応して生み出された活性酸素を除去する抗酸化除去機能もあるため、疲労したを心身を回復させてくれます。関連:酸化ストレスが健康寿命を縮める
朝陽の強い光を浴びることで、セロトニンが分泌され覚醒し、心身が活動できる状態となります。日中は、セロトニンによって交感神経が優位な状態が続き、太陽が沈み始める頃から少しづつ交感神経から副交感神経が優位な状態へ移り変わっていき、メラトニンが分泌される頃には睡眠の準備が整い始めます。
朝の太陽を浴びることから1日のリズムがつくられます
繰り返しになりますが、朝太陽をしっかりと浴びることが眠りに直接繋がっています。人間は、太陽が昇ると起きて、太陽が沈むと休むという生体リズムがあるため、このリズムに抗うことなく、リズムに合わせるだけで、本来持っている機能が正しく働き始めてくれます。 習慣化するまでは難しいのかもしれませんが、今よりも30分早くベッドに入り、今よりも30分早く起きて、朝陽を浴びながら20分ほどウォーキングやストレッチなどのエクササイズをしてみてください、心身共にリフレッシュすることが実感できると思います。睡眠の質をあげるためになにかひとつといわれたら、間違いなく朝陽を浴びることです。
睡眠の質をあげる大切な生活習慣 腸内環境を整える
腸は第二の脳ともいわれる、生物にとってとても大切な器官です。なぜ眠りに腸が関係あるの?という声が聞こえてきそうですが、眠りには心身のリラックスが必要です。ストレスを 軽減しリラックスするために、腸内環境の良し悪しが大きく関わっているのです。
腸は健康の司令塔
脳は、非常に複雑な神経ネットワークを構築して、私たちの生命活動を支えています。一方、腸にも独自の神経系があり、脳と互いに影響を及ぼしあうことがわかっています。これは「脳腸相関」(のうちょうそうかん)といわれています。
生命活動や心の動きを調節する際、さまざまな指令を伝えているのが神経伝達物質です。脳と腸の両方で分泌される神経伝達物質に、覚醒のホルモンでもあるセロトニンがあります。セロトニンは、脳内では気分を安定させ、穏やかにする役割を担っているほか、睡眠にも関与しているということは先述した通りですが、腸でも、腸を動かす指令を出す際にセロトニンが使われています。
腸内のセロトニンがコントロールしている心身の安定
例えば、生活習慣やストレスなどが影響して腸の働きが鈍り便秘になった場合には、腸の神経系はセロトニンを分泌し、腸が動くように刺激します。腸内では、腸が反応するまでセロトニンを分泌し続けるため、便秘がひどくなると腸内のセロトニンが過剰になり、一方、脳ではセロトニンが不足している状態になってしまうため、不安になったりイライラしたりしやすくなるようです。このように、腸と脳はつながっていて、腸内環境が不安定だと心身に影響を与えてしまいます。
腸内環境を整えるとメラトニンもしっかり分泌
朝にセロトニンが分泌されてから、約16時間後に睡眠ホルモンのメラトニンが分泌され始めるのですが、睡眠に大切なメラトニンの生成にも、腸内環境が大きく関係しています。
体内に取り込まれたタンパク質は、腸の中の、腸内細菌によって分解・合成され、トリプトファンという物質を作り出します。このトリプトファンが、メラトニンの生成に必要不可欠なもの。だから腸内細菌の数が多く、善玉菌が優勢な腸内環境であるほど、睡眠ホルモン・メラトニンの生成は活発になり、質の良い眠りにつながるというわけです。
眠りを点では考えず大きな流れを意識してください
木を見て森を見ず、という諺があるように、睡眠だけを見ているとわからないことが多いのですが、視座を変えて生活全体を俯瞰したなかで睡眠を見てみると、その重要性と流れというものが理解できるようになると思います。夜眠るために朝陽を浴びるとか、眠るために腸内環境を整えるとか、一見直接関わりがないような行動も、実は健やかな生活を送るうえでとても大切な2つの生活習慣なのです。
陽が昇ったら覚醒して、陽が暮れると睡眠をすることが、私たち人間の生体リズムのなかに刻み込まれているのです。そのリズムという流れの中に、自分たちの生活を合わせていくこと。これがもっとも理に適ったウエルネスライフなのです。
睡眠こそ生活の中心におくべき活動
睡眠は日常のあたりまえになっているので、どうしても軽んじて考えられがちな風潮を感じます。また睡眠そのものについても、まだ科学的に解明できていないことが多いことも、その風潮を助長しているのかもしれません。
けれども考えてみて欲しいのです。睡眠が不足している、あるいは自覚はないけれど不足していたらどうなるでしょうか。残念ながら本来持っている力を存分に発揮することができないのです、自分の力はこんなんもんじゃないはず、その背景には睡眠が大きく関わっています。
例えば「今日は奮発してステーキにしよう」と、食事では生活のなかでメリハリがあります。運動でもそうです、明日は休みだから少しハードなトレーニングで追い込んでおこうとか。睡眠についてはどうでしょうか、今日は奮発して質の高い睡眠をしよう、とかはできないのです。できるのは、休日だから寝れるだけ寝よう、という時間の量的なものだけ。
ただ残念ながら、1日で長時間眠ったとしても睡眠不足の蓄積は解消できないだけでなく、不規則な生活リズムはかえって体調を崩す原因になったりしますから注意が必要です。生活リズムは、睡眠の基ともなっている生体リズムに合わせることが求められます。そう考えると、健やかな生活を求めるのであれば、なによりも睡眠という活動を生活の中心に置くことが大切です。
睡眠は「すっきりした」という体感を大切に
3人に1人は悩んでいるという睡眠。厚生労働省の報告では、睡眠の悩みとして「睡眠途中に目が覚めて困った」「日中、眠気を感じた」「睡眠全体の質に満足できなかった」などが挙げられています。 参考:厚生労働省健康実態の調査
コロナ禍における日常生活の大きな変化によって、生活のリズムが乱れて睡眠に悩まれる方も多くいるようです。まだ睡眠については、解明されていないことが多いのも事実、ですから科学的根拠のない一般論だけに惑わされずに、自身の体感を基に「すっきりした」と感じられる睡眠を心がけてください。昼間にあくびがとまらない、集中力が続かないというのは、睡眠不足が原因だと考えられますので、自覚を持って睡眠環境の改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。
自分に合った睡眠環境を整えよう
睡眠環境改善に直ぐに有効なグッズ
人生の1/3以上の時間を過ごすのがベッド(あるいは布団)。本質的な意味でのマイホームが寝室であり、ベッドなのです。この環境を機能的に改善することだけで睡眠の質は向上します。睡眠の質が向上すれば、疲労が回復できたり、免疫力が高まって病気になりにくい身体になったりと、生活全体の質が向上します。そして、なによりもグッズは今日からでも改善できる、もっとも簡単な睡眠環境改善法のひとつです。
脳を休めるためストレスのない枕
脳を休めることが大きな目的でもある睡眠にとって、枕はとても大切なグッズです。頭をしっかりと支えてくれながら、その高さや固さがストレスにならないもの、そして頭部の熱を放射できる通気性の高いものを選んでください。遠征の多いプロアスリートは、マイ枕を持参して睡眠環境を守っているということからも、睡眠における枕の大切さは理解いただけると思います。
そこでお薦めしたいのは「スタンフォード式最高の睡眠」著者であるスタンフォード大学医学部精神科教授/スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所所長の西野精治医学博士がプロデュースしている枕です。 西野精治医学博士がプロデュースしているBRAIN SLEEPの枕はこちら
眠り始めの90分深く眠ることを目的にした枕 眠り始めの90分を深く眠ることができれば、その後の睡眠全体の質も向上するという考えの基に、入眠時の深部体温(体の内側の温度)を下げる事に着目し開発された枕です。脳の温度も深部体温と同じ動きを示しますので、就寝中に脳を冷やす(頭部の熱がこもらない)事で良質な睡眠を手に入れる事ができるようになると開発された、世界最高峰の科学的根拠に基づいた枕です。
睡眠は優先して質をあげるという意識へ
限られた時間のなかで、やるべきことややりたいことが沢山あると、ついつい睡眠時間を削ってしまいがちです。けれども、やるべきことを高い生産性で行うには、しっかりと睡眠をしなければ実現はできません。
仕事や趣味などに集中力高く、しなやかな行動でパフォーマンスを発揮するためには、なによりも優先して”睡眠の環境と時間をつくること”が大切です。睡眠は、疲れたから眠るのではなく、脳と身体の仕組みに合わせて積極的に質をあげていくということが求められています。
睡眠の質は生活の質(QOL=quality of life)に直結していますので、健康寿命を延ばすためには、日々行う睡眠について正しく理解し、「すっきりした」と感じられるような睡眠をとれるように心がけてください。関連情報:健康寿命の課題と対応
Have a good sleep.
西村公志 睡眠健康指導士、健康管理士。 著書「感動できる柔らかなココロがマーケットを創造する」(アスペクト)。マーケティングコンサルタントとして活動するなかで法人経営者の健康管理における危機意識を感じ、正しい情報をお伝えできるようにと健康の中でも人生の1/4以上の時間を費やす睡眠と睡眠に関わる健康管理について学び続けている。
参照:厚生労働省 睡眠と健康 参照:日本睡眠学会
参照:スタンフォード式最高の睡眠 医療機関:日本睡眠学会 専門医
※できるかぎり最新の情報を基に更新を重ねているため、掲載初期のものから情報が更新されていることがあります、あらかじめご了承ください。
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