酸化ストレスは、環境や食事やストレス等によって過剰に産生された活性酸素と、身体に備わっている抗酸化防御機構とのバランスが崩れることで発生してしまいます。
活性酸素にも善い面と悪い面があるように、表裏一体絶妙なバランスのなかで身体は健やかな状態でいます。このバランスを正しく理解することで、ウエルネスライフに近づきます。
酸化ストレスは活性酸素が増えることが原因
酸化ストレスについて正しく理解しておくために、基本となる言葉の定義をしておきたいと考えています。抗酸化による、健やかな身体づくりの第一歩は用語の正しい理解から始めましょう。
酸化ストレスとは
活性酸素の産生が過剰となり、体内の抗酸化防御機構を上回ってしまった状態を酸化ストレスといいます。酸化ストレスになると、細胞を傷害し、がん、心血管疾患ならびに生活習慣病などさまざまな疾患をもたらす要因となります。そのため私たちの体内には、活性酸素の傷害から生体を防御する抗酸化防御機構が備わっているのです。
活性酸素とは
私たちが生命活動を営むうえで酸素は不可欠です。呼吸によって、常に新しい酸素をとりこみ、血液中にあるヘモグロビンに付着して、身体のすみずみにまで運ばれます。この呼吸によって体内に取り込まれた酸素の約2%が、通常よりも活性化された状態の酸素(活性酸素)となります。この活性酸素は、他の物質を酸化させる力がとても強いのです。
抗酸化とは
身体の中の酸化を抑えるようにする作用のことで、活性酸素による酸化によって悪影響がおよばないよう、活性酸素の働きを阻害してくれます。ある程度の活性酸素は体内の酵素によって分解されますが、活性酸素の生成量が多いと、体内の酵素だけでは抗酸化が間に合わず、酸化されダメージを受けてしまいます。活性酸素の働きを抑えるのは体内の酵素だけでなく、体外から摂る抗酸化物質も活性酸素からの酸化を防いでくれます。
※厚生労働省 活性酸素と酸化ストレス
活性酸素は善玉か悪玉か
活性酸素は、身体を護る善でもあり、身体を蝕む悪でもあります。バランスの中では、善として機能し、崩れてしまうと悪として不調の誘因となります。
善玉の活性酸素
活性酸素は、過剰な産生あるいは酸化ストレスによる老化、がん、生活習慣病発症との関連が注目されがちなのですが、白血球から産生される活性酸素(スーパーオキシド・過酸化水素など)は、身体を護る免疫機能や感染防御として重要な役割を担っています。 また細胞間のシグナル伝達、排卵、受精、細胞の分化・アポトーシスなどの生理活性物質としても利用されていますので、活性酸素を除去すれば良いという安易な考え方は禁物で、一定量の活性酸素は健康維持に不可欠なものでもあるのです。
悪玉の活性酸素
健康な体内では、活性酸素の産生と抗酸化防御機構のバランスが取れているのですが、下記が原因となり活性酸素が過剰に産生されてバランスが崩れてしまうと、身体を酸化させてしまいます。
◆紫外線
◆放射線
◆大気汚染
◆たばこ
◆食品添加物
◆過度の運動
◆精神的ストレス
活性酸素を生む原因は、私たちが一般的に理解している「身体に悪いこと」です。つまり「身体に悪い」とは「活性酸素を生んで酸化ストレスになる」ことなのです。酸化ストレスによって「身体が錆びる」、それは長期間風雨にさらされた車と同じだといえます。
酸化ストレスが引き起こす疾患
病気の90%は、酸化ストレスが原因ともいわれています。活性酸素が増えすぎてバランスが崩れ、身体を酸化させてしまうことで生活習慣病の三大疾患をはじめ多くの疾患を引き起こします。参考:健康寿命の課題と対応 また年齢に比例して抗酸化防御力が弱まり、活性酸素の働きが強まることで、体のあちらこちらで酸化が進んでいきます。風邪をひきやすくなった、肌荒れやしみが目立つ、疲れがとれない、肩凝りがひどいといった症状がみられたら注意をしてみてください。
◆がん
◆心臓疾患
◆脳血管疾患
◆高血圧
◆糖尿病
◆白血病
◆肺炎
◆胃潰瘍
◆アルツハイマー型痴呆症
◆関節リウマチ
◆白内障
◆肌トラブル
◆老化の促進 など
酸化ストレスを除去するためには
酸化ストレスにならないためには、日々の過剰な活性酸素を産生させないことと、しっかりと抗酸化することです。
抗酸化のための3つの活動
適度な運動
激しい運動は活性酸素を増やしますから、厚生労働省が国民の生活習慣の改善、健康寿命の延伸を目的にスタートした取り組み「毎日10分の運動をプラス」を参考にしながら、あまり強度の高くない適度な運動を心がけてください。
食生活の改善
抗酸化のエースといわれるビタミンA,C,Eをはじめ、ポリフェノール(アントシアニン、カテキンなど)、カロテノイド(β-カロテン、リコピンなど)も、抗酸化作用をもつ成分です。このような酸化を防ぐ栄養素が含まれている食品や栄養補助食品などで、日常的に補給しておくことが必要です。
高質な睡眠
抗酸化をうながすために見落とされがちなのが、日々の疲れを溜めないということ。毎日しっかりと睡眠をとり、回復していくことも大切です。先述したように、本来健やかな生活をおくっていれば抗酸化防御機構が働き、活性酸素と抗酸化のバランスは保たれるのです。睡眠時間だけでなく、睡眠の質にも気をつけてください。
酸化ストレスのリカバリー
酸化した細胞のリカバリーを滞らせない、つまりは疲れをためないことが酸化(身体が錆びていくこと)を防ぐためには大切なことです。風雨にさらされないようにガレージに入れていた車は、錆びることもなくエンジンも好調です。身体も同じことです、ガレージに入れてあげること、つまりしっかりと休むこと、眠ることを心がけてください。
身体の酸化(疲れ)は必ずサインが出ます、身体がだるい、頭が痛い、肩が凝る、元気が出ないなど。これらを感じた時には、酸化ストレス状態であるということを認識して、リカバリーするように努めてください。疲れた状態で動くことで、さらに活性酸素を産生させてしまい酸化を促してしまう悪循環に陥ります。
またリカバリーには、リフレッシュも大切です。心地いい時間を持つことで酸化ストレスを除去できます。
バランスを意識してウエルネスへ
ここまで伝えてきたように酸化ストレスは、活性酸素と身体に備わっている抗酸化防御機構とのバランスが崩れることで発生してしまいます。人間には自然治癒能力が備わっています、基本的にはその力を維持していれば酸化ストレスも対応できるのです。
活性酸素にも善い面と悪い面があるように、表裏一体絶妙なバランスのなかで身体は健やかな状態でいます。このバランスを意識して偏りのない生活を実行することで、ウエルネスライフに近づきます。シンプルに身体に悪いことをできるかぎり抑制し、身体に善いことを継続して行う、まずは健康についての正しい理解から、健康情報も偏りなくバランスに気をつけて、さまざまな見地から収集して理解に努め、実践してみてください。
※できるかぎり最新の情報を基に更新を重ねているため、掲載初期のものから情報が更新されていることがあります、あらかじめご了承ください。
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