top of page

今夜からできる睡眠改善法

睡眠の質をあげることは、生活の質(QOL)をあげることに繋がっています。睡眠は、脳と身体のメンテナンスと調整のために行うものですから、日々のパフォーマンスを向上させるためには、質の高い睡眠が不可欠です。睡眠についての理解を深めて、少し生活改善するだけで今夜から質の高い睡眠がとれるように変わっていきます。誰もができる睡眠の質を改善するための7つの方法をお伝えします。とはいっても、7つすべてが出来ないと睡眠改善には繋がらないということではなく、ひとつ心がけるだけで変わりますのでご安心ください。


睡眠を改善する7つの方法

 

睡眠改善といっても、なにかを劇的に変えるということではありません。睡眠のメカニズムを理解いただき、そのうえで幾つかの生活習慣を改善してもらえるだけで、これまでとは違った睡眠が今夜から体感できるはずです。 関連:睡眠の質をあげるための基本知識



朝しっかりと起きること


私たちには、生体リズムが備わっていて時間と共にリズムを刻んでいます。このリズムが整っていれば、昼間は元気に活動し、夜はぐっすり眠ることができます。リズムのスイッチを入れたり整えたりしてくれるのが朝陽です、厳密にいうと朝の光です、夜から朝に変わったということを光によって、しっかりと脳に信号を送るということです。


そうすると、セロトニンというホルモンが分泌され、そのホルモンの分泌を機に、眠りを催すホルモンであるメラトニンの分泌へと繋がっていきます。メラトニンなどホルモンの分泌については「睡眠の質をあげるための基本知識」を是非お読みください。


睡眠の最初の一歩は、朝の光をしっかりと浴びるということがなによりも大切になります。太陽光は100,000ルクスというとても強い照度があります、屋内では1,000ルクス程度なのでどれほど強い光であるかが理解いただけるかと思います。この太陽光を、窓際や屋外で20分程度浴びていただければ、生体リズムは正しくリセットされ、動き始めます。



ベッドでスマホを見ないこと


眠ろうとベッドに入ってから、暗い部屋の中でスマホを使うと生体リズムを狂わせてしまいます。その原因となるのが、パソコンやスマホにも使用されている視認性を高めているブルーライト。明るい外光がある時にも、見え易いようにとブルーライトという光を放っているのですが、眠る前にブルーライトという強い光を見ると脳は太陽光と勘違いしてしまい、本来は夜になると眠りへと導くメラトニンというホルモンが分泌されなくなります。


朝の光を感じた情報が脳に届いてから、子供は14時間後、大人は16時間後に、睡眠を促すメラトニンが分泌されて眠くなり、眠ってから3時間後に分泌量が最大となるリズムで働いていて、ノンレム睡眠時の深い眠りに関わっています。また睡眠を促すだけでなく、強い抗酸化作用があり、酸素と反応して生み出された活性酸素を除去して身体の疲れをとる役割もあります。


ただし、メラトニンは明るい光によって分泌が止まってしまうのです。なのでスマホやPCを見るというのは、睡眠1時間前には止めておく習慣をつけるようにしてみてください。これは今夜から直ぐにできることです。



適度な運動をすること


睡眠のために毎日しっかりとトレーニングをすべきということではありません。むしろ激しい運動は、活性酸素を産生させてしまい身体にも悪影響があることがありますので注意が必要です。運動習慣がある人には不眠が少ないというデータもあるようですので、適度な運動の習慣化を目指してみてください。


適度な運動とは、負担が少なく習慣化できるようなウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を20分くらいです。また運動のタイミングですが、睡眠のことだけを考えると、夕方から夜にかけて就寝3時間前を目安にするといいようです。これは運動をすることで一時的に体温が上がるので、入眠時には身体の深部体温が下がりやすくなり、入眠しやすくなるという理由です。これは下記にある入浴にも通ずる生体機能を理解した行動となります。睡眠直前に運動をしてしまうと交感神経を刺激してしてしまい、眠りにくくなるので注意してください。

参考:厚生労働省 快眠と生活習慣



就寝3時間前に食事は終わらせること


残業で遅くなって夕食が22時頃、そして就寝が24時などというのはよくあることですね。睡眠の質をあげるためには、遅くとも就寝3時間前には食事を終わらせるように注意してください。睡眠とは、内臓も休ませてあげることだと理解しておいてください。


ベッドに入るときは、身体も心もリラックスした状態であることが、睡眠の質を改善するポイントなのですが、食後直ぐの状態だと、胃腸が消化のために働き続けてしまっています。そうなると睡眠の質に大きく影響しているノンレム睡眠時に深い睡眠に入りづらくなってしまいます。睡眠前の飲酒も実は同じことで、ナイトキャップなどといわれて入眠を促すためにお酒を飲まれる方もいらっしゃいますが、アルコールの血中濃度が高くなると一時的には鎮静作用で眠くなるのですが、アルコールが体内で分解されると急にその作用が醒めることで、目覚めやすくなるだけでなく、体内の水分が奪われるので喉が渇きやすくなり、また利尿作用からトイレに行きたくなり、睡眠の途中で目が覚めることが増えてしまいます。 関連:睡眠の質をあげるための基本知識



入浴は就寝2時間前頃にすること


湯冷めをするから眠る前にお風呂に入る、ということを習慣づけられていたかたも多いのではないでしょうか。入浴は身体を清潔にするだけでなく、質の高い睡眠にも大きな影響があります。入浴は、就寝2時間前を目途に行うのが、質の高い睡眠へ誘うひとつです。


入眠には、深部体温を下げるというものがあります。赤ちゃんが眠たくなっているサインのひとつに手足が温かくなるといというものがあります。手足から、熱を放射して、身体の内部の体温を下げているのです。同じように、大人も入眠前には、深部体温が下がりますので、入眠2時間ほどまえに身体を温めることで、ちょうど入眠時に深部体温が下がるということです。入眠直前の入浴は、深部体温を上げてしまいますので、実は逆効果なのですね。


そしてもうひとつ、入浴には交感神経優位の状態から、副交感神経優位のリラックスした状態になるという効果があります。緊張状態では、寝付きにくいですのでリラックス状態で入眠を迎えることができるように心がけてください。



リラックスすること


これまでに記してきたように、睡眠時には副交感神経が優位にならなければなりません。つまりリラックスした状態でなければ入眠しにくいということです。そのために、スマホを見ないようにしたり、入浴をしたりと、生体機能として副交感神経が優位な状態となるように

整えることが必要だという訳です。


音楽を聴いたり、映画を観たり、受動的な行動でリラックスできることが、睡眠前には望ましいです。テレビも一生懸命に見てしまうと目がチカチカと頭の中に残像が残ってしまいますし、激しい音楽を大音量で聴いたりすると興奮してしまいます。こうなると交感神経が優位になっている状態なので、睡眠を意識して虫の音色や川のせせらぎなどの心地いい環境音やスローな選曲を心がけてください。


睡眠環境を整えること


どのような環境が睡眠にとっていいのかを理解すれば、直ぐに対応できることのひとつが睡眠環境づくりです。例えば「部屋が暑くて眠れない」「枕が固いし高くてうまく眠れない」「マットレスが柔らかすぎて身体が沈んで腰が痛い」というような状況では、毎日少しづつのストレスが蓄積され、質の高い睡眠にはなりませんので、自分にとって快適に眠れる睡眠環境を整えることは大切です。

寝室の電灯

まず眠る部屋の電灯では、白く眩しい蛍光色ではなく、色温の高い白熱色にしたほうがリラックスできます。そして、睡眠時にはできるだけ部屋は暗くしてください。明るいと睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑えられるようです。


部屋と寝床の温度調整


つぎに室温を調整することも快適な睡眠環境には大切な要因です。室温としては、夏季は25℃〜26℃、冬季は22℃〜23℃、湿度は通年50%〜60%。布団の中は、温度が約32~34℃、湿度が50%前後が理想的だといわれています。この状態が保てるように、季節に合わせてエアコンを利用したり、季節に適した寝具を選ぶことも大切です。


リラックスできる服装


眠るときにはリラックスしなければならないと何度も繰り返し伝えてきました。眠るときの服装は、身体を締め付けたりしないリラックスできるものを選んでください。また季節によって、寝具とともに温度調節できるような服装を選ぶことも大切です。



どうしても眠れない時には


心身疲れていてもストレスで頭が冴えて眠れないこともあります。悩みごとや心配ごと、社会生活をおくる中では、ストレスがまったくないということなどは無理なのだと思います。ですから眠れない夜もあるでしょうし、それが続くこともあるかもしれません。


そんな時に、今一度思い返してみて欲しいのです。眠るってなにのためにあったのだったっけ?と。睡眠の目的は、脳と身体のメンテナンスと調整のためです。心配ごとで頭がいっぱいで神経が昂っていては、脳は休むことはできません。ならば眠れないというストレスを重ねるよりも、どうせ頭から悩みは外せないのだったら、眠る必要もないのだと割り切ってしまい、別のことをしてみてください。


悶々と悩むよりも眠ることを諦めて、暗めの照明環境で映画を観たり、音楽を聴いたり、できるかぎり身体を動かさずに受動でリラックスできるであろうなにかをしてみてください。眠れないと身体は疲れるのではと感じますが、映画を観たり、音楽を聴いたりしているだけならば、身体は動かしていないので体力を大きく消耗することはありません。


眠らなくてはいけない、と思いすぎることでストレスを重ねるほうが、心身にダメージを与えてしまいます。人間には、恒常性維持機構というものがあり「疲れたら眠くなる」という働きがあります。本当に疲弊したときには、人間は必ず眠るようになっていますので安心してください。眠れない時には、焦ることなく眠る目的を思い起こしてください。



睡眠こそ生活の中心におくべき活動

 

睡眠は日常のあたりまえになっているので、どうしても軽んじて考えられがちな風潮を感じます。また睡眠そのものについても、まだ科学的に解明できていないことが多いことも、その風潮を助長しているのかもしれません。

けれども考えてみて欲しいのです。睡眠が不足している、あるいは自覚はないけれど不足していたらどうなるでしょうか。残念ながら本来持っている力を存分に発揮することができないのです、自分の力はこんなんもんじゃないはず、その背景には睡眠が大きく関わっています。


例えば「今日は奮発してステーキにしよう」と、食事では生活のなかでメリハリがあります。運動でもそうです、明日は休みだから少しハードなトレーニングで追い込んでおこうとか。睡眠についてはどうでしょうか、今日は奮発して質の高い睡眠をしよう、とかはできないのです。できるのは、休日だから寝れるだけ寝よう、という時間の量的なものだけ。 ただ残念ながら、1日で長時間眠ったとしても睡眠不足の蓄積は解消できないだけでなく、不規則な生活リズムはかえって体調を崩す原因になったりしますから注意が必要です。生活リズムは、睡眠の基ともなっている生体リズムに合わせることが求められます。そう考えると、健やかな生活を求めるのであれば、なによりも睡眠という活動を生活の中心に置くことが大切です。

睡眠は「すっきりした」という体感を大切に


3人に1人は悩んでいるという睡眠。厚生労働省の報告では、睡眠の悩みとして「睡眠途中に目が覚めて困った」「日中、眠気を感じた」「睡眠全体の質に満足できなかった」などが挙げられています。 参考:厚生労働省健康実態の調査


コロナ禍における日常生活の大きな変化によって、生活のリズムが乱れて睡眠に悩まれる方も多くいるようです。まだ睡眠については、解明されていないことが多いのも事実、ですから科学的根拠のない一般論だけに惑わされずに、自身の体感を基に「すっきりした」と感じられる睡眠を心がけてください。昼間にあくびがとまらない、集中力が続かないというのは、睡眠不足が原因だと考えられますので、自覚を持って睡眠環境の改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。


自分に合った睡眠環境を整えよう


睡眠環境改善に直ぐに有効なグッズ


人生の1/3以上の時間を過ごすのがベッド(あるいは布団)。本質的な意味でのマイホームが寝室であり、ベッドなのです。この環境を機能的に改善することだけで睡眠の質は向上します。睡眠の質が向上すれば、疲労が回復できたり、免疫力が高まって病気になりにくい身体になったりと、生活全体の質が向上します。そして、なによりもグッズは今日からでも改善できる、もっとも簡単な睡眠環境改善法のひとつです。


脳を休めるためストレスのない枕

脳を休めることが大きな目的でもある睡眠にとって、枕はとても大切なグッズです。頭をしっかりと支えてくれながら、その高さや固さがストレスにならないもの、そして頭部の熱を放射できる通気性の高いものを選んでください。遠征の多いプロアスリートは、マイ枕を持参して睡眠環境を守っているということからも、睡眠における枕の大切さは理解いただけると思います。


そこでお薦めしたいのは「スタンフォード式最高の睡眠」著者であるスタンフォード大学医学部精神科教授/スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所所長の西野精治医学博士がプロデュースしている枕です。 西野精治医学博士がプロデュースしているBRAIN SLEEPの枕はこちら

眠り始めの90分深く眠ることを目的にした枕 眠り始めの90分を深く眠ることができれば、その後の睡眠全体の質も向上するという考えの基に、入眠時の深部体温(体の内側の温度)を下げる事に着目し開発された枕です。脳の温度も深部体温と同じ動きを示しますので、就寝中に脳を冷やす(頭部の熱がこもらない)事で良質な睡眠を手に入れる事ができるようになると開発された、世界最高峰の科学的根拠に基づいた枕です。


睡眠は優先して質を高めるという意識へ


限られた時間のなかで、やるべきことややりたいことが沢山あると、ついつい睡眠時間を削ってしまいがちです。けれども、やるべきことを高い生産性で行うには、しっかりと睡眠をしなければ実現はできません。


仕事や趣味などに集中力高く、しなやかな行動でパフォーマンスを発揮するためには、なによりも優先して”睡眠の環境と時間をつくること”が大切です。睡眠は、疲れたから眠るのではなく、脳と身体の仕組みに合わせて積極的に質を高めていくということが求められています。


睡眠の質は生活の質(QOL=quality of life)に直結していますので、健康寿命を延ばすためには、日々行う睡眠について正しく理解し、「すっきりした」と感じられるような睡眠をとれるように心がけてください関連情報:健康寿命の課題と対応


Have a good sleep.


西村公志 睡眠健康指導士、健康管理士。 著書「感動できる柔らかなココロがマーケットを創造する」(アスペクト)。マーケティングコンサルタントとして活動するなかで法人経営者の健康管理における危機意識を感じ、正しい情報をお伝えできるようにと健康の中でも人生の1/4以上の時間を費やす睡眠と睡眠に関わる健康管理について学び続けている。


 

※できるかぎり最新の情報を基に更新を重ねているため、掲載初期のものから情報が更新されていることがあります、あらかじめご了承ください。

bottom of page